AIで作った業務委託契約書(コンサル)の点検

コンサルティングなど助言や支援を行う側の業務委託契約書をAIで作ったとき、受託者を守る土台は整っていても、計算の矛盾、空欄の別紙、業務範囲の境界、成果物の権利に直すべき点が残ることがあります。

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下限が上限を上回る違約金や、金額表のない別紙は、体裁を見ただけでは気づけません。数字を入れて計算し直すところから点検が始まります。

このページの要点

  • 助言・支援の契約は準委任で組むのが一般的で、成果を保証しないこと、成果への不満で報酬を拒めないことを書面で明示する。
  • 点検記録(3依頼者分)のうちコンサルティング契約の1依頼者分10件は、金額の矛盾と空欄、資格の要る業務との境界、成果物の権利、請求期間、標準条項に集まった。1依頼者の例として読む。
  • 業務範囲は「含む」と「含まない」を併存させず、資料作成支援は検討用のたたき台に限り、資格の要る業務は別に委託する整理を書く。
  • 成果物は、著作権の帰属と利用許諾の範囲を分けて書き、請求期間・完全合意・存続・定義・管轄の標準条項もそろえる。

このページの結論

  1. 助言や支援を行う側(受託者)の業務委託契約書は、AIの下書きでも、準委任と成果非保証の明示、賠償の上限、ノウハウの帰属、追加費用の単価など、受託者を守る土台が整っていることがあります。点検の記録も、受託者保護の観点では総じて完成度が高いと評価しました。
  2. 直し所は、違約金の計算が破綻していないか、別紙の金額表が埋まっているか、業務範囲が資格の要る業務に及ぶ書き方になっていないか、成果物の著作権をどう扱うか、請求期間・完全合意・定義などの標準条項があるか、に集まりました。
  3. 10件の指摘は1依頼者分の記録なので、例として読みます。直し方は、数字を一義にし、境界を文言で引き、権利と責任の範囲を明示するという、書面の側の作業です。

受託者側から読む:準委任か請負かで、書き方が変わる

コンサルティング、顧問、業務支援といった契約は、準委任(法律行為ではない事務の処理を任せる契約。成果の完成ではなく、事務を行うこと自体を引き受ける用語集)で組むのが一般的です。民法は、法律行為でない事務の委託には委任の規定を準用すると定めています(643条・656条)。仕事の完成を約束し、その結果に報酬を支払う請負(ある仕事を完成させることを約束し、その結果に対して報酬を支払う契約用語集)(632条)とは違い、準委任は成果物を完成させる義務ではなく、事務を行うこと自体を引き受ける契約です。[1]

この違いは契約書の書き方に直結します。委任では、受任者は特約がなければ報酬を請求できず、事務を履行した後でなければ請求できないのが原則です(648条1項・2項本文)。また、委任はどちらの当事者もいつでも解除できますが、相手方にとって不利な時期に解除した場合などには損害を賠償する必要があります(651条)。この「いつでも解除できる」という性質が、中途解約の違約金を設計するときの出発点になります。[1]

このページは、助言や支援を提供する側(受託者)の立場で書いています。発注者の立場では、成果の定義や検収、費用の上限といった別の点に重点が移るので、立場を取り違えて読まないようにしてください。契約書の作り方の全体はコンサルティング契約書の作り方で、成果を保証しない書き方はコンサル契約書の成果を保証しない条項で扱っています。

点検の記録で見られた例と、記録が挙げた良い点

AIの下書きの点検記録点検の実務で見られた例として

事業の助言を行う業務委託契約書(受託者側)の初稿を点検した例

事業の助言と支援を行う業務委託契約書について、AIが作成した原案を、受託者の立場から点検した記録です。原案は全体として、準委任であること、成果を保証しないこと、賠償の上限、ノウハウの帰属などを備えており、受託者を守る観点からは総じて完成度が高いという総評でした。そのうえで、10件が直されています。

10件の内訳は、同じ書類の中の矛盾と空欄が2件(違約金の計算、別紙の金額表)、資格の要る業務との境界が2件(業務範囲の書き方、士業との関係の条項)、成果物の著作権が1件、賠償の請求期間が1件、完全合意・定義・保護条項群といった標準条項が3件、管轄が1件です。

AIで作った下書きの点検記録(3依頼者分、誤り・不備59件)のうち、業務委託契約書(コンサルティング、受託者側)を点検した1依頼者分の10件です。1依頼者の記録のため、傾向とは言わず、一つの例として扱います。

業務委託契約書の点検で直した10件を型で分けると

型件数依頼者数補足
同じ書類の中の矛盾・空欄(違約金の計算、別紙の金額表)2件1依頼者例取引条件の欠落
他の法令による独占業務との境界2件1依頼者例業務範囲、士業との関係
標準条項・定義の不足3件1依頼者例完全合意・分離・存続、定義、保護条項群
成果物の権利関係の抜け1件1依頼者例著作権の帰属と利用範囲
責任制限・請求期間の不足1件1依頼者例賠償の請求期間
管轄の固定1件1依頼者例案件ごとに設定できる形に

3依頼者分の点検記録(誤り・不備59件)のうち、コンサルティング業務委託契約書を点検した1依頼者分の10件。

AIの下書きの点検記録点検の実務で見られた例として

記録が「良い点」として挙げたAIの原案の特徴

  • 契約の性質が準委任であり、成果を保証しないことが明示されている
  • 損害賠償の金額に上限が設けられている
  • 業務の過程で得られたノウハウが受託者に帰属する形になっている
  • 追加費用の単価が定められている
  • 士業の業務を行わない(除外する)という考え方が取り入れられている
  • 秘密保持条項が標準的で、質が高い

このページでは、AIの下書きを「誤りだらけ」とは読みません。記録のとおり、土台は整っていて、直すべき点が絞られていた、という事実を出発点にします。AIがこれらの点をしやすい理由や、しにくい理由は、記録に記載がありません。

同じ1依頼者分の記録です。

金額と計算:違約金の逆転と、空欄の別紙

最初に確かめるのは、金額に関わる条項です。AIが作る条項は、日本語としては筋が通っていても、数字を入れて計算すると成り立たないことがあります。点検の記録では、中途解約の違約金が一つの典型でした。下限を月額報酬の3か月分、上限を解約時点の残存期間の報酬総額と定めたため、残存期間が3か月に満たない場面で、下限が上限を上回り、金額が確定しなかったのです。

下限3か月分、上限は残存期間の報酬総額、とした場合

残存期間下限(月額の3か月分)上限(残存期間の報酬総額)結果
6か月3か月分6か月分3か月分から6か月分の間で、金額の決め方が別に必要
3か月3か月分3か月分3か月分で一致する
2か月3か月分2か月分下限が上限を上回り、金額が確定しない
1か月3か月分1か月分下限が上限を上回り、金額が確定しない

月額報酬を1とした倍数で示した例です。実際の金額は入れていません。

先に述べたとおり、準委任はいつでも解除でき、相手に不利な時期の解除のときなどに損害賠償を負うという構造です(民法651条)。[1]解除を抑える目的で違約金を定めるなら、違約金は賠償額の予定と推定されます(420条3項)。[2]賠償額の予定は金額が確定してはじめて機能するので、計算が破綻する書き方は、定めたつもりの金額を請求できなくなるおそれにつながります。点検では、残存総額が下限を下回る場合は残存全額を違約金とする、という一義的な書き方に直しました。

もう一つの典型が、別紙の空欄です。本文には「追加費用は別紙に定める」と書かれているのに、別紙に金額の表が入っておらず、実質的に空欄でした。受託者にとって、追加の会議や作業を請求する根拠は単価にあります。単価が書面にないと、請求のたびに合意をやり直すことになり、書面を結ぶ意味が薄れます。直し方は、別紙に基本報酬、追加業務の単価、追加会議の単価、実費、消費税の扱いを表にして入れ、本文の単価と一致させることです。

書き方の例(型として作り直した例) 中途解約の違約金と、別紙の追加費用

中途解約の違約金

AIの下書き(よくある書き方)「委託者が本契約を中途解約するときは、月額報酬の3か月分以上で、残存期間の報酬総額以下の違約金を支払う。」
問題点残存期間が3か月に満たない場面では、下限が上限を上回り、金額が確定しない。賠償額の予定として機能しない。
直した書き方「委託者が本契約を中途解約するときは、月額報酬の3か月分を違約金として支払う。ただし、解約時点の残存期間の報酬総額が3か月分に満たないときは、その残存期間の報酬総額とする。」

追加費用

AIの下書き(よくある書き方)「追加業務の費用は、別紙に定める。」(別紙に料金表がない)
問題点請求の根拠となる単価が書面にない。本文と別紙が空振りして、追加業務のたびに報酬の合意をやり直すことになる。
直した書き方「追加業務の費用は、別紙の料金表に定める単価により計算する。別紙には、基本報酬、追加業務の単価、追加会議の単価、実費、消費税の扱いを記載する。」

ここで挙げた下書きの書き方は、点検の記録から型として作り直したもので、原文ではありません。違約金の下限と上限を別々に決めたいときは、残存期間ごとの表を作って計算を確かめてから条文にします。報酬の決め方そのものは、コンサル料・顧問料の決め方と契約書が扱っています。

業務範囲と、資格の要る業務との境界

助言や支援の中身が、人事や労務、税務、法務に近づくと、「支援」と書いたつもりの業務が、資格を持つ者でなければ業として行えない業務と重なることがあります。たとえば社会保険労務士法27条は、社会保険労務士でも社会保険労務士法人でもない者が、他人から求められて報酬を受け、同法2条1項1号から2号までの事務(行政機関に提出する申請書等の作成、その手続の代行、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成など)を仕事として行うことを禁じています。違反には32条の2で罰則が定められています。[3]

27条が名指しするのは1号から2号までで、事業の労務管理について相談に応じ、指導する事務(2条1項3号)は含まれていません。そのため、点検の記録は、助言そのものは独占業務ではなく、規程類そのものの作成は独占業務に当たり得る、と整理しました。契約書の側では、この境界を文言で引く必要があります。弁護士法72条も、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で一般の法律事件に関して鑑定、代理その他の法律事務を取り扱うことを業とすることを禁じています。[4]AIと72条の整理はAI契約書と弁護士法72条のページに譲り、ここでは契約書の書き方に絞ります。

点検の記録で見つかった問題は二つです。一つは、業務範囲の条項で、規程等の資料作成支援を「含む」としながら、別の条項で規程の作成は「除外」としており、境界が不明確だったことです。もう一つは、受託者が資格者ではないこと、資格が必要な業務は含まないことを明示する条項がなかったことです。どちらも、受託者が資格の要る業務を引き受けたと読まれることを避けるために、書面で線を引くべき箇所でした。

書き方の例(型として作り直した例) 業務範囲の書き方

資料作成支援の範囲

AIの下書き(よくある書き方)「受託者は、事業に関する助言及び規程等の資料作成支援を行う。」(別の条項に「規程の作成は含まない」)
問題点「含む」と「含まない」が併存し、どこまで引き受けたのかが読み取れない。規程そのものの作成を引き受けたと読まれるおそれがある。
直した書き方「資料作成支援は、委託者が検討に用いるためのたたき台、構成案及び参考資料の提供に限る。規程そのものの作成、法的な審査、行政機関への届出又は申請の代理は含まない。」

資格との関係

AIの下書き(よくある書き方)(該当する条項がない)
問題点受託者が資格者でないこと、資格の要る業務を行わないことが書かれておらず、依頼の範囲が広がりやすい。
直した書き方「受託者は、法令により資格を有する者に限り行うことができる業務の資格を有しない。そのような業務が必要になるときは、委託者が自らの責任と費用で、その業務を行うことができる者に別に委託する。」
条文例

業務範囲の限定と士業との関係(論点ごとの条文例)

  1. 本業務における資料作成支援は、委託者が検討に用いるためのたたき台、構成案及び参考資料の提供に限る。
  2. 本業務には、規程その他の文書そのものの作成、法的な審査、及び行政機関に対する届出又は申請の代理は含まれない。
  3. 受託者は、法令により資格を有する者に限り行うことができる業務を行う資格を有しない。前項の業務が必要となるときは、委託者が自らの責任と費用で、当該業務を行うことができる者に別に委託する。

条文例は一例です。業務の種類によって、含まない業務の範囲は変わります。業務範囲の一般的な書き方は業務委託の業務範囲・追加作業・修正回数の直し方も参考になります。

成果物の著作権と、利用の範囲

助言や支援の過程で、報告書、設計資料、研修資料といった成果物が生まれます。点検の記録では、個別の成果物の著作権の帰属が書かれていない一方で、委託者による編集や配布まで認める利用範囲が書かれていたため、権利が委託者に移ったと読まれるおそれが指摘されました。利用許諾(著作権を譲り渡さずに、決めた範囲での利用を認めること用語集)の範囲と、権利の帰属を分けて書いていなかった形です。

著作権法の規定は、この点で書き方を左右します。著作権は全部も一部も譲り渡せますが、譲渡の契約で翻案権等(27条・28条の権利)が特に挙げられていないと、それらは手放した側に残っているものと推定されます(61条)。著作者人格権は譲渡できません(59条)。成果物を編集して配布する行為は、翻案権等に関わります。[5]

点検では、著作権は受託者に留保し、委託者には社内で利用するための非独占的な利用許諾を与え、許諾の範囲内では受託者が著作者人格権を行使しない、という形に直しました。受託者が成果物の着想やノウハウを次の案件に使えるようにする意味もあります。成果物の権利の考え方はコンサル成果物の著作権と契約書が詳しく、成果物の作成にAIを使った場合の権利は生成AIを使った成果物の権利のページで扱います。

条文例

成果物の権利と利用許諾(論点ごとの条文例)

  1. 成果物の著作権は、著作権法第27条及び第28条に定める権利を含め、受託者に帰属する。
  2. 受託者は、委託者に対し、成果物を委託者の社内で利用するために必要な範囲で、非独占的に利用することを許諾する。委託者は、受託者の書面による承諾なく、成果物を第三者に提供し、又は公表してはならない。
  3. 受託者は、前項の許諾の範囲内での委託者による成果物の利用について、著作者人格権を行使しない。

利用の範囲(社内のみか、取引先への提示まで含めるか)は、事業の実態に合わせて決めます。範囲を広く認めるなら、その分の対価を報酬に反映させるかどうかも併せて考えます。

責任・請求期間と標準条項:抜けやすい条項の一覧

金額、業務範囲、権利のほかに、点検の記録では、契約書の「標準的な部品」が抜けていたことも指摘されました。部品の抜けは、契約が順調な間は目に見えず、トラブルや終了のときに初めて表に出ます。下の表は、記録で直した内容を並べたものです。

標準的な部品の抜けと直し方

論点抜けていた内容直し方
損害賠償の請求期間金額の上限はあるが、請求できる期間の制限がない業務の終了から一定期間を過ぎたら請求できない旨を加える。故意または重過失の場合は除く構成が安全
完全合意・分離可能性・存続提案書や口頭の合意に優先する完全合意、一部が無効でも他は有効とする定め、終了後に残る条項の指定がない三つの条項を新設する
定義契約の中心になる言葉(業務、成果物など)を冒頭で定義する条項がなく、条ごとに指す範囲が揺れうる冒頭に定義条項を置き、全体で用語を統一する
標準的な保護条項表明保証、期限の利益の喪失、差止めなどの救済、相殺、契約不適合責任の不適用、成果への不満を理由とする支払拒絶の禁止がない新設する。準委任であり請負ではないことの明確化を含める
管轄専属的な合意管轄が特定の地方裁判所に固定され、案件ごとに当事者が変わる原案としては不都合受託者の本店所在地を管轄する裁判所などを、案件ごとに設定できる形にする

管轄を合意で決められるのは第一審だけで、特定の法律関係に関する訴えについて、書面(電磁的記録でもよい)で合意した場合に限られます(民事訴訟法11条)。

請求期間と完全合意条項(その契約書が当事者の合意のすべてで、締結前の提案書や口頭の約束に優先すると定める条項用語集)、存続条項(契約が終わった後も効力を持ち続ける条項。秘密保持や報酬の精算などを指定する用語集)は、短い条文で足ります。請求期間は、業務が終わって時間が経ってから賠償を請求される不安を区切るための条項です。点検の記録では、故意または重過失の場合を除く構成に直しました。完全合意条項は、契約締結前の提案書の記載や口頭の約束を根拠に、書面と違う請求がされることを防ぎます。

条文例

請求期間・完全合意・存続・契約の性質(論点ごとの条文例)

  1. 本契約に基づく損害賠償の請求は、本業務が終了した日から○か月を経過したときは、することができない。ただし、損害が相手方の故意又は重大な過失によって生じた場合は、この限りでない。
  2. 本契約は、本業務に関する当事者間の合意のすべてであり、本契約の締結前に交わされた提案書、見積書その他の書面及び口頭による合意に優先する。本契約の一部が無効又は執行不能となっても、他の部分の効力に影響しない。
  3. 第○条(秘密保持)、第○条(報酬及び費用)、第○条(成果物の権利)、第○条(損害賠償)その他性質上本契約の終了後も存続すべき条項は、本契約が終了した後も効力を有する。
  4. 本契約は準委任契約であり、請負契約ではない。受託者は、本業務を善良な管理者の注意をもって遂行するが、特定の成果の達成を保証しない。委託者は、成果に対する不満を理由として、報酬又は費用の支払を拒むことができない。

請求期間の「○か月」は、業務の種類と成果物の使われ方に合わせて決めます。契約の性質の条項は、成果を保証しないことと、報酬の支払を成果と切り離すことを一緒に書く形です。

見つけ方:点検の手順と、修正の説明書の読み方

業務委託契約書(コンサルティング等・受託者側)の確認点

  • 金額・追加費用が別紙まで埋まっていて、計算が矛盾しないかAIの下書きの点検記録
  • 業務範囲が有資格者の独占業務に及ぶ書き方になっていないかAIの下書きの点検記録
  • 成果物の著作権の帰属と利用範囲、賠償の上限と請求期間が定められているかAIの下書きの点検記録

受託者側の業務委託契約書を自分で点検するときの確認項目

  • 契約の性質(準委任か請負か)が書かれ、成果を保証しない旨があるか
  • 報酬と追加費用の金額が、本文と別紙で一致し、別紙の表が埋まっているか
  • 中途解約の違約金に、金額が確定しない場面(下限が上限を上回るなど)がないか
  • 業務範囲に「含む」と「含まない」が併存して、境界が曖昧になっていないか
  • 資格が必要な業務と重なり得る書き方がないか。受託者が資格者でないこと、その業務は別に委託する整理が書かれているか
  • 成果物の著作権の帰属、利用の範囲、著作者人格権の扱いが書かれているか
  • 賠償の上限と請求期間があり、故意または重過失の場合の扱いが整理されているか
  • 完全合意、分離可能性、存続の条項があるか
  • 定義語が冒頭で定義され、すべての条で同じ意味で使われているか
  • 管轄が案件ごとに設定できる形になっているか

修正内容の説明書の読み方

  1. 1

    箇所

    条番号と見出しで、直した場所を特定します。条項がないときは「新設」と書かれます。

  2. 2

    問題

    原案の何が足りない、あるいは矛盾しているのかを、事業の流れに引き寄せて読みます。

  3. 3

    根拠

    法令や資料が挙がっていれば条番号を原文で確かめ、挙がっていなければ「実務上の説明」として読みます。

  4. 4

    直し方

    原案のどの文言を、どう変えたかを読みます。数字を入れて計算し直すと確かめやすくなります。

  5. 5

    反映後の確認

    直した後の条文で、他の条との参照や定義が崩れていないかを確かめます。

条文を新設すると、他の条の「前条」「次条」といった相対参照が崩れることがあります。直した後は必ず全体を読み直します。

確かめる問いと理由点検の前に確かめておくこと

  1. 報酬は月額か、時間単価か、成果に連動するか。

    金額の条項と別紙が、実際の請求の形と合っているかを確かめるためです。

  2. 成果物として何を渡し、相手はどう使うか。

    著作権の帰属と利用許諾の範囲を決めるためです。

  3. 資格が必要な業務を頼まれることがあるか。

    業務範囲と、含まない業務の書き方を決めるためです。

  4. 契約を途中でやめたくなる場面は、どちらの側にあり得るか。

    違約金と解除の設計に関わるためです。

  5. 作業に生成AIを使うか。

    使うなら、守秘や成果物の権利との関係をAI利用の禁止と許可のページで確かめます。

どれも、事業の実態から決まる事柄で、AIの下書きだけでは埋められません。

起きがちなこと

  • 体裁が整っているため、別紙の空欄や、計算が成り立たない違約金に気づかないまま署名する。
  • 「資料作成支援を含む」と書いたことで、規程そのものの作成まで引き受けたと読まれる。
  • 成果物の利用範囲だけを書き、著作権の帰属を書かないために、権利が移ったと言われる。
  • 賠償の上限だけで請求期間がなく、終了して長い時間が経った後でも請求を受ける不安が残る。

点検と仕上げについて

AIが作ったコンサルティングの業務委託契約書は、受託者を守る土台が整っていることがあります。そのうえで、金額の計算、別紙、業務範囲の境界、成果物の権利、標準条項の五つを確かめると、直すべき箇所は絞られます。全体の誤りの型は実態との不一致のページ、責任条項は責任条項の過不足のページ、組み立ては組み立ての不備のページにまとめています。

秘密保持と個人情報の扱いについては、業務委託契約書(コンサル)の秘密保持・個人情報・AIが詳しく説明しています。

点検と仕上げの料金は、料金表に書類1通ごとの定額でまとめています。手元の書類のどこから確かめればよいか迷うときは、ページ末尾の相談の枠から、書類の種類と気になっている点をお知らせください。急いで契約する必要がなければ、このページの確認項目を一通り当てはめてみるだけでも、直すべき箇所の見当はつきます。

根拠・出典

  1. [1]民法 632条・643条・648条・651条・656条(請負・委任・受任者の報酬・委任の解除・準委任)e-Gov法令検索(法令API)で現行条文を確認(基準日:2026年10月23日) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(確認日:2026年10月23日)
  2. [2]民法 420条(賠償額の予定)e-Gov法令検索(法令API)で現行条文を確認(基準日:2026年10月23日) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(確認日:2026年10月23日)
  3. [3]社会保険労務士法 2条・27条・32条の2(業務・業務の制限・罰則)e-Gov法令検索(法令API)で現行条文を確認(基準日:2026年10月23日) https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089(確認日:2026年10月23日)
  4. [4]弁護士法 72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)e-Gov法令検索(法令API)で現行条文を確認(基準日:2026年10月23日) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205(確認日:2026年10月23日)
  5. [5]著作権法 27条・28条・59条・61条(翻案権等・二次的著作物・著作者人格権の一身専属性・著作権の譲渡)e-Gov法令検索(法令API)で現行条文を確認(基準日:2026年10月23日) https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048(確認日:2026年10月23日)
  6. [6]民事訴訟法 11条(管轄の合意)e-Gov法令検索(法令API)で現行条文を確認(基準日:2026年10月23日) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109(確認日:2026年10月23日)

よくあるご質問

準委任と請負は、契約書の上でどう違いますか。

請負は仕事の完成を約束して結果に報酬を払う契約で、準委任は成果の完成ではなく事務を行うこと自体を引き受ける契約です。助言や支援の契約は準委任で組むのが一般的です。契約書には、準委任であること、特定の成果を保証しないこと、成果への不満を理由に報酬の支払を拒めないことを書いておきます。

成果を保証しない書き方は、どう書けばよいですか。

契約の性質が準委任であり請負ではないこと、受託者は善良な管理者の注意をもって業務を行うが、特定の成果の達成は保証しないことを書きます。あわせて、成果に対する不満を理由とする報酬の支払拒絶を禁じる一文を置くと、報酬と成果が切り離されます。広告やサイトで成果をうたっていると食い違いが生じるので、そちらも揃えます。

中途解約の違約金を入れてよいですか。

事業者間の契約であれば、違約金を定めること自体はできます。民法上、違約金は賠償額の予定と推定されます。ただし、準委任はいつでも解除できる性質を持つため、解約を抑える効果の程度は事案によります。金額の計算が一義的か、残存期間が短い場面でも成り立つかを、数字を入れて確かめてください。相手が個人の消費者であれば、消費者契約法の確認が別に必要です。

資格が必要な業務と混ざらない書き方は、どうすればよいですか。

業務範囲の条項で、資料作成支援は検討用のたたき台や構成案の提供に限ること、規程そのものの作成、法的な審査、行政機関への届出や申請の代理は含まないことを書きます。さらに、受託者が資格を持たない業務は行わないこと、その業務が必要になったときは委託者が自らの責任と費用で別に委託することを書いておきます。

追加費用は、どのように書けばよいですか。

別紙に料金表を作り、基本報酬、追加業務の単価、追加会議の単価、実費、消費税の扱いを記載します。そして本文には「別紙の料金表に定める単価で計算する」と書き、本文と別紙の数字が一致していることを確かめます。別紙を後で作る予定にして空欄のまま署名すると、請求の根拠が書面に残りません。

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。個別の書類が有効か無効か、どの条項を直すべきかは、事業の実際の流れ、取引の相手、書類の全体の構成によって異なります。書き方の例として紹介している内容は、型として作り直した一般的な例で、特定の事業者や書類を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月23日時点のものを確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 文化庁 / 個人情報保護委員会 / 法務省 / 消費者庁

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