AIで作った契約書の定義・別紙・管轄の不備

個々の条文は整っていても、言葉の意味、書類どうしの役割、使い回しで変わる部分といった「組み立て」に抜けが残る例を、点検記録の件数とともに整理します。

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定義語、標準条項、本文と別紙、管轄を、書面を横断して確かめます。

このページの要点

  • 定義語の一覧を作り、条ごとに意味が揺れていないか確かめる
  • 完全合意・分離可能性・存続などの標準条項の抜けを見る
  • 本文と別紙、規約と約款の役割が重なっていないか見る
  • 管轄は専属的に書き、使い回しで変わる部分は空欄で確かめる

このページの結論

  1. 定義・標準条項・本文と別紙の役割分担・管轄は、条文の中身というより書面の「組み立て」にあたる部分で、体裁が整った下書きでも、抜けや食い違いが残る例が点検の実務で見られた。
  2. 3依頼者分の点検記録(指摘59件)のうち、組み立ての不備を主な論点とする指摘は12件で、3依頼者すべてに見られた。記録で理由が明記されていたのは、個人向けの条項の混入の1件だけだった。
  3. 見つけ方は、定義語の一覧づくり、各条の主語の確認、使い回しで変わる部分の洗い出し、参照先の実在確認の四つ。直し方は条文例のとおり。

点検の実務で見られた組み立ての不備

契約書の「組み立て」とは、個々の条文の中身ではなく、条文どうしの関係を指します。言葉の意味がそろっているか、本文と別紙、規約と約款のような複数の書類で役割が重なっていないか、使い回す書面の当事者や裁判所が書き換えられるようになっているか、といった点です。内容が一見そろっている書面ほど、この部分の抜けは目立ちません。

組み立ての不備として数えた指摘(12件)

型件数依頼者数補足
標準条項・定義語の不足5件2依頼者定義・完全合意・分離可能性・存続・通知・不可抗力など
書類間・本文と別紙の役割分担のずれ3件2依頼者約款・会則・規約の役割/本文と別紙の食い違い
別の文脈の言い回しの混入2件1依頼者例個人向けの事由・不正確な法令の言及
管轄・使い回しの変数の不備2件2依頼者特定の裁判所に固定/専属的になっていない

3依頼者分の点検記録(指摘59件)のうち、組み立ての不備を主な論点とする12件。依頼者が1の行は「例」として読み、傾向とは受け取らないでください。

記録で、AIで作った契約書にありがちなものとして理由が明記されていたのは、個人契約用の条項が法人どうしの契約に混ざった1件だけです。残りの指摘については、記録に理由の記載がありません。そのため、このページでは「AIはこの誤りをしやすい」という書き方をせず、見つかった型と見つけ方、直し方を示します。

定義語と標準条項:なぜ必要か

定義語(契約書の冒頭などで「本業務とは〜をいう」と、言葉の意味をあらかじめ決めておく言葉用語集)は、契約書全体で同じ意味を保つための仕組みです。受託者側の業務委託契約書の点検記録に、「本業務」「成果物等」といった言葉を冒頭で定義する条項がなく、条ごとに指す範囲が揺れ得る、という指摘がありました。報酬の対象、責任の範囲、秘密保持の対象が、すべて同じ言葉に結びついているため、範囲がぼやけると複数の条文が同時に不安定になります。

ここで正直に書いておくと、「定義した言葉が条ごとに違う意味で使われていた」という指摘は、この記録には1件もありません。記録にあるのは、定義条項そのものの欠落が1件です。定義語の不統一は、他の書類の点検でも見られる型ですが、AIの下書きで見つかったとは、ここでは書きません。

AIの下書きの点検記録点検の実務で見られた例として

標準的な条項が抜けている例

  • 受託者側の業務委託契約書で、提案書や口頭の合意に優先する完全合意、一部が無効になったときに残りを有効とする分離可能性、契約の終了後も残る条項を決める存続の定めがない例。
  • 同じ書面で、表明保証、期限の利益の喪失、差止めなどの救済措置、相殺、契約不適合責任を負わないこと、成果への不満を理由とする支払の拒絶の禁止が、原案になかった例。
  • 会員制サービスの会則と利用規約で、会員資格の譲渡禁止、通知方法、不可抗力による免責、アカウント管理の責任、権利義務の譲渡禁止が抜けている例。

3依頼者分の点検記録(指摘59件)のうち、標準条項・定義語の不足に当たる5件(2依頼者)。

標準条項は、書面の本体と同じくらい、取引の種類によって要る・要らないが変わります。基本契約と個別契約の優先関係の落とし穴は取引基本契約書・売買基本契約書の作り方で、個別契約がいつ成立するかはみなし承諾とはで、秘密情報の定義を業種の言葉で列挙する書き方は外注先NDAの秘密情報の列挙の書き方で扱っています。

よく挙がる標準条項の役割

条項何のための条項か抜けるとどうなるか
定義契約全体で言葉の意味をそろえる条ごとに範囲が揺れ、報酬・責任・秘密保持の対象が不安定になる
完全合意契約書に書いたことだけが合意の全部だと確認する提案書や口頭のやり取りを根拠に、書面にない約束を主張される余地が残る
分離可能性一部が無効でも、残りの条項は有効とする一部の無効が、書面全体の効力の争いに広がる
存続契約が終わった後も効力を残す条項を決める秘密保持や支払、賠償の条項が、終了とともに消えたと主張される
期限の利益の喪失支払を怠ったときに、残りの支払を一度に請求できるようにする分割や後払いの場合に、早期に回収する根拠がなくなる
通知・譲渡禁止・不可抗力連絡方法、権利義務の移転、天災などの扱いを決める通知が届いたかどうか、誰が責任を負うかで争いになる

書類間と、本文と別紙の役割分担

会員制のサービスでは、規約・約款・会則のように、複数の書類を使うことがあります。点検記録では、それぞれの役割分担が整理されておらず、約款がサービスの説明書と契約条件書の中間のようになり、会則が規約の簡易版にとどまっている、という指摘がありました。会員の行動原則と運営者の権限を、会則に置くべきだという整理です。3つの書類の配置は、会員規約・約款・会則の点検で詳しく扱っています。

なお、不特定多数を相手に内容を画一的にする取引で、契約の内容とすることを目的として準備した条項のまとまりを、民法は定型約款と呼んでいます。定型約款に当たる書面は、一定の要件で個別の条項にも合意したものとみなされますが、相手に一方的に不利な条項は、合意していないものとして扱われます(民法548条の2)。[1]会員向けの約款や規約は、この定型約款に当たる場合があるため、役割分担を整理するときに意識しておきます。

AIの下書きの点検記録点検の実務で見られた例として

本文と別紙の役割分担がずれている例

事業譲渡契約書で、商人間の売買に関する検査と通知の規定を適用しないとする条項が本文にあるのに、現状有姿で引き渡すことと契約不適合責任を負わないことという肝心の合意は別紙にだけあり、本文で整理されていない例がありました。商法526条は、商人間の売買で買主が受領後に遅滞なく検査し、不適合を見つけたら直ちに通知しなければ、追完の請求や代金の減額、損害賠償、解除ができなくなると定めています。{r9("shoho526")}この規定を外す理由が本文から読めないまま、実質の合意が別紙に離れている、という形です。点検では、本文に現状有姿での引渡しと非保証の定めを置く直し方が示されていました。

3依頼者分の点検記録(指摘59件)のうち、書類間・本文と別紙の役割分担に当たる3件(2依頼者)。

別紙は、本文の一部として扱われることが多く、金額表や資産の目録のように細かい情報を置くのに適しています。ただし、本文と別紙で内容が重なると、どちらが優先するのかが問題になります。別紙に置いてよいのは本文の条項を具体化する情報までとし、合意の核心は本文に置いておくと、食い違いを防げます。

別の文脈の混入と、管轄の不備

別の種類の契約書の言い回しが、本来の書面に混ざっている例が、点検記録に2件ありました。記録は、そのうち1件を「AI生成の契約書にありがちな個人契約用の条項の混入」と説明しています。

AIの下書きの点検記録点検の実務で見られた例として

別の文脈の言い回しが混ざっている例

  • 譲受人が法人なのに、契約解除の事由に「死亡、後見、保佐又は補助の開始」という、個人にしか起こらない事由が入っている例。法人には死亡も後見の開始もないため、この事由は働きません。
  • 疑義の解決を「民法及び会社法の規定に基づき」とするが、実際には他の分野の法令も関係していて、協議の根拠として不正確な例。点検では、「関係法令及び本契約の趣旨に従い誠実に協議する」と直す方法が示されていました。

3依頼者分の点検記録(指摘59件)のうち、別の文脈の混入に当たる2件(1依頼者)。1依頼者の記録なので、例として読んでください。

もう一つの型は、管轄です。専属的合意管轄(紛争が起きたとき、訴えを起こす裁判所を、合意した一つの裁判所に限る取り決め用語集)は、裁判所を固定するための取り決めです。管轄の合意は、第一審に限り、一定の法律関係に基づく訴えについて、書面でする必要があります(民事訴訟法11条)。[3]

点検記録には、管轄に関する指摘が2件ありました。一つは、専属的合意管轄が特定の地方裁判所に固定されていて、当事者を差し替えて使い続ける書面としては不都合な例です。もう一つは、「日本の法令に基づき管轄を有する裁判所」と書いてあるだけで、専属的な合意になっておらず、紛争のときの裁判所を固定できない例です。前者は当事者に応じて書き換えられる空欄にし、後者は当事者の所在地の地方裁判所を専属的合意管轄とする直し方が示されていました。

AIの下書きの点検記録点検の実務で見られた例として

管轄の定めに不備がある例

  • 専属的合意管轄が特定の地方裁判所に固定され、使い回すには書き換えが必要な例。
  • 「日本の法令に基づき管轄を有する裁判所」とあるだけで、裁判所を固定できていない例。

3依頼者分の点検記録(指摘59件)のうち、管轄・使い回しの変数に当たる2件(2依頼者)。

使い回す書面で変わる部分を洗い出す

同じ書面を案件ごとに使い回すとき、組み立ての不備は「書き換え忘れ」の形で出ます。管轄の裁判所を特定の地方裁判所に固定した書面を、当事者を差し替えて使い続ける例は、点検記録にもありました。書き換える部分を最初に一覧にしておくと、署名前の最終確認が楽になります。

使い回しで書き換える部分の一覧(例)

部分書き換え忘れの例確かめ方
当事者の名称・住所・代表者前の案件の相手方の名称が前文や署名欄に残る前文・署名欄・別紙・通知先を検索して、同じ名称かを見る
管轄の裁判所前の案件の当事者の所在地を管轄する裁判所のまま管轄の条を読み、今回の当事者の所在地に合っているかを見る
日付・期間契約日、始期、終期、請求期間が前の案件のまま日付と期間を拾い、本文と別紙で一致しているかを見る
金額・単価・基準本文と別紙の金額表が食い違う。別紙が空欄のまま金額が出る箇所をすべて拾い、合計と内訳を照合する
条番号の参照条を足し引きした後に、「第○条」の参照先がずれる参照を一つずつ辿って、参照先が意図した条かを見る
個人向けの記述「死亡」「後見」など、法人には起こらない事由が残る契約当事者が個人か法人かを決め、事由が当てはまるかを見る

見つけ方:組み立てを四つの角度から確かめる

組み立ての不備は、条文を一つずつ読むだけでは見落としやすいものです。次の四つの角度から、書面を横断して確かめます。

組み立てを点検する順番

  1. 1

    定義語の一覧を作る

    「」で囲まれた言葉、「以下〜という」と書かれた言葉を拾い、定義した条と、使われている条を並べます。

  2. 2

    各条の主語を確かめる

    「甲は」「乙は」「当社は」「会員は」が、前後の条で入れ替わっていないか、通知先が自分自身になっていないかを見ます。

  3. 3

    使い回しで変わる部分を洗い出す

    当事者の名前、裁判所、日付、金額、期間のように、案件ごとに書き換わる部分を一覧にして、空欄や古い案件の記載が残っていないか確かめます。

  4. 4

    参照先が実在するか確かめる

    「前項」「第○条」「別紙」が、実際にある条項を指しているかを見ます。条を足したり削ったりしたときは特に念入りに確かめます。

  5. 5

    書類間と本文・別紙を突き合わせる

    同じ事項(金額、期日、用語)が、書類どうし、本文と別紙で食い違っていないかを見ます。

定義語の照合表の作り方(例)

言葉定義した条使われている条確かめること
本業務第1条第3条・第6条・第12条報酬の対象と責任の対象で、同じ範囲を指しているか
成果物等(定義なし)第8条・第13条定義がないまま使われていないか。「等」が何を含むか
会員第1条規約・約款・会則三つの書類で同じ意味か。体験利用の人を含むか

表の内容は、照合表の作り方を示すための例です。

確かめる問いと理由組み立てについて確かめる問い

  1. 冒頭に定義条項はあるか。ないとき、複数の条で使う言葉はどれか

    定義がないまま、報酬や責任の範囲が言葉の使われ方に左右されるのを防ぐ。

  2. 完全合意・分離可能性・存続の条項はあるか

    書面外の約束の主張や、一部無効の波及、終了後の効力を、あらかじめ決めておく。

  3. 使い回す書面なら、当事者・裁判所・日付は空欄か変数になっているか

    古い案件の情報が残ることを防ぐ。

  4. 個人向けの事由が、法人どうしの契約に残っていないか

    法人に起こらない事由は働かず、条文が読みにくくなる。

  5. 管轄は、専属的な合意として書かれているか

    紛争のときに、最初に管轄そのものを争う手間を避ける。

組み立ての点検リスト

  • 冒頭に定義条項があり、複数の条で使う言葉が定義されているか
  • 定義した言葉が、すべての条で同じ意味で使われているか
  • 完全合意・分離可能性・存続の条項があるか
  • 通知方法・権利義務の譲渡・不可抗力の定めがあるか
  • 規約・約款・会則など複数の書類の役割が重なっていないか
  • 本文と別紙で、金額や用語が食い違っていないか。合意の核心が別紙だけにないか
  • 個人向けの事由(死亡・後見など)が、法人どうしの契約に残っていないか
  • 管轄が専属的合意管轄として書かれ、当事者に応じて書き換えられるか

直し方:論点ごとの条文例

次の条文例は、論点を示すための短い例で、○の部分は書面に合わせて決めます。

書き方の例(型として作り直した例) 組み立ての書き方

定義

AIの下書き(よくある書き方)条文のなかで「本業務」「成果物等」を使うが、定義の条がない。
問題点条ごとに範囲が揺れ得る。「等」が何を含むのかも読めない。
直した書き方冒頭に定義条項を置き、「本業務」「成果物」を一度だけ定義して、契約全体で同じ言葉を使う。

管轄

AIの下書き(よくある書き方)「日本の法令に基づき管轄を有する裁判所とする。」
問題点専属的な合意になっておらず、紛争のときの裁判所を固定できない。
直した書き方「本契約をめぐる訴訟は、第一審に限り、○○の所在地を管轄する地方裁判所にのみ提起できる(専属的合意管轄)。」と、当事者に応じて書き換える空欄を置く。

別の文脈の混入

AIの下書き(よくある書き方)「相手方に死亡、後見、保佐又は補助の開始があったとき、解除できる。」
問題点相手方が法人の場合、この事由は働かない。
直した書き方個人向けの事由を削るか、法人向けの事由(解散、破産手続開始の申立てなど)に直す。
条文例

定義条項

  1. 本契約で次の用語を使うときは、それぞれ各号に書いた意味とする。
  2. 「本業務」とは、第○条に定める業務をいう。
  3. 「成果物」とは、本業務の遂行により作成され、委託者に引き渡される資料その他の有形無形の成果をいう。

定義した言葉は、契約書全体で同じ表記を使います。

条文例

完全合意・分離可能性・存続

  1. 本契約は、本契約に関する当事者間の合意のすべてであり、本契約の締結前の提案書、見積書及び口頭の合意に優先する。
  2. 本契約の一部が無効又は執行不能とされた場合でも、その他の条項は有効に存続する。
  3. 本契約の終了後も、第○条(秘密保持)、第○条(損害賠償)、第○条(管轄)その他その性質上存続すべき条項は、なお効力を有する。

存続させる条項は、条番号で具体的に挙げます。参照先が実在するかも確かめます。

条文例

管轄

  1. 本契約をめぐる訴訟は、第一審に限り、○○地方裁判所にのみ提起できる(専属的合意管轄)。

○○には、案件ごとに当事者の所在地などを入れます。

起きがちなことと、確認できていないこと

組み立てで起きがちなこと

  • 定義条項がなく、重要な言葉が条ごとに揺れる
  • 条を足したり削ったりして、「前項」「第○条」の参照先がずれる
  • 約款・規約・会則に同じ内容を重ねて書き、食い違う
  • 本文には書かず、合意の核心が別紙だけにある
  • 古い案件の当事者名や裁判所が、使い回しのなかに残る
  • 個人向けの事由や、他の分野の法令の言及が混ざる

確認できていないことも書いておきます。定義した言葉が条ごとに違う意味で使われていた、という指摘は、AIの下書きの点検記録には含まれていません。外国の法律や慣行を前提にした言い回し(準拠法・管轄・用語)も、この記録には指摘がありませんでした。これらは「見つかった」とは書けないため、確認できているのは、定義条項の欠落と、管轄の不備までです。

相手方から渡された書面に修正を入れるときの伝え方は業務委託契約書の修正依頼の伝え方に、合意した内容を後から変えるときの書面はコンサル契約・顧問契約の変更覚書と合意解除の覚書にまとめています。事業の流れに沿って点検する場合は事業譲渡契約書の点検、責任条項の組み方は責任条項の過不足も参考になります。

自分の書面で組み立てに迷う箇所が残ったときの進め方は、点検と仕上げの流れにまとめています。料金の考え方と相談の方法は、ページ末尾の案内枠に記載しています。用語の意味は、用語集でも確かめられます。

根拠・出典

  1. [1]民法 548条の2(定型約款の合意)e-Gov法令検索(法令API)で現行条文を確認(基準日:2026年10月23日) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(確認日:2026年10月23日)
  2. [2]商法 526条(買主による目的物の検査及び通知)e-Gov法令検索(法令API)で現行条文を確認(基準日:2026年10月23日) https://laws.e-gov.go.jp/law/132AC0000000048(確認日:2026年10月23日)
  3. [3]民事訴訟法 11条(管轄の合意)e-Gov法令検索(法令API)で現行条文を確認(基準日:2026年10月23日) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109(確認日:2026年10月23日)

よくあるご質問

定義条項は、必ず必要ですか。

法律上、必ず必要というわけではありません。ただし、複数の条で同じ言葉を使う契約書では、冒頭で意味を決めておかないと、報酬や責任の範囲が条ごとに揺れる原因になります。点検記録でも、定義条項の欠落が指摘され、冒頭に置く直し方が示されていました。

完全合意条項とは、何ですか。

契約書に書いたことが当事者の合意のすべてだと確認する条項です。提案書や見積書、口頭のやり取りは、契約書に優先しないと定めておくことで、書面にない約束を後から主張されることを防ぎます。点検記録では、受託者側の業務委託契約書にこの条項がなかった例がありました。

分離可能性の条項とは、何ですか。

契約書の一部の条項が無効になったときでも、残りの条項は有効なまま続くと定める条項です。一部の無効が、契約書全体の効力を争う根拠に広がることを避けるために置きます。完全合意・存続と並んで、標準的な条項群として挙げられた例です。

管轄は、空欄のままにしてよいですか。

使い回す書面では、案件ごとに当事者の所在地などが変わるため、裁判所を書き換えられる空欄にしておくのは一つの方法です。ただし、空欄のまま署名すると、合意が成立していないことになります。署名前に必ず埋まっているか、専属的な合意として書かれているかを確かめます。

個人向けと法人向けの違いは、どこに出ますか。

契約当事者の資格に関わる事由に出ます。たとえば、死亡や後見の開始は個人にだけ起こるため、法人どうしの契約では働きません。法人であれば解散や破産手続開始の申立てなどが対応する事由です。点検記録では、法人どうしの契約に個人向けの事由が残っていた例が1件ありました。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の書類が有効か無効か、どの条項を直すべきかは、事業の実際の流れ、取引の相手、書類の全体の構成によって異なります。書き方の例として紹介している内容は、型として作り直した一般的な例で、特定の事業者や書類を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で2026年10月23日時点のものを確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 文化庁 / 個人情報保護委員会 / 法務省 / 消費者庁

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